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恐るべし小千谷市の激戦 パート2?(ベイシア襲来編)
〜ベイシアと地元チェーン店を訪ねて〜

さて、昨年11月26日にオープンしたベイシア小千谷店。昨年末、簡単にレポートしたわけですが、反響もありましたので今回ちょっと現地を見てまいりました。勢力図は以前と変わらず、ジャスコ、原信、チャレンジャー、それとベイシアとなるわけですが、ベイシアの品揃えを考えると、ホームセンターや他の衣類専門店などへの影響も十分考えられます。

ジャスコを中心とした地域には、しまむらや青山と言った衣料専門店があったり、ドラックストア、コメリホームセンター、ひらせいホームセンターなど郊外店が軒を連ねています。以前にも述べましたが、昨年オープンしたベイシア小千谷店は、それらがある市街地から、さらに北に約2Kほど離れた立地。国道17号線バイパス沿いで、周囲は集落と水田しかない地域。将来において、隣接地に多種の郊外店進出を考えると、また国道沿いという立地を含めて、店舗周辺の発展と集客が見込める地域であります。

今現在でも小千谷市街のみならず、国道17号線を経由して長岡、魚沼方面からの集客もあるようです。平日には、長岡方面への通勤者が利用すると思われます。立地から見て、小千谷市だけではなく広域的な集客を見込んでいる店舗でありますが、やはりベイシアも、既存の競合店を意識した売り場を展開しています。既に業界誌で書かれていることではありますが、地元新潟の人間としての視点で、簡単にレポートしてみます。

写真・小千谷市三仏生 ベイシア小千谷店
隣接地には何にもございません。
カインズもオートアールズもセーブオンも。道を挟んで東側にセブンイレブンがあるだけです。国道17号と市街地へ向かう県道との交差点角に位置します。

テナントは美容室、ファーストフード、銘店、レディスカジュアル、メガネ、携帯ショップなど一通りの店舗は備えてあります。宝くじのお店もあります。一体型SCです。

既に何回も来店しており、写真はオープン時に撮ったものを使わせて頂きました。下手に顔を憶えられて、ブラックリストに載せられて入店禁止?になっても困るので、その点ご理解頂ければなと、そう思います。さて、偵察はいつも休日で、そのためか駐車場は三分の一くらい(店舗正面)は車で埋まっています。あまり駐車場でウロウロすると、警備員が睨み付けてくるのでザッとしか見ませんが、車の車庫証明の所在地で、長岡市や見附市などといった市名が結構見て取れます。車庫証明が無い車も結構多く、小千谷市近郊の郡部からの集客も多いのでしょう。

店内生鮮の流れとして、青果、鮮魚、惣菜、畜産の順番。青果は地元野菜コーナーを幅広く取っているものの、売りたいのはベイシア地元の野菜のようです。しかし新潟自体、種類にもよりますが通常でも、首都圏から北関東にかけての産地から出荷されることは珍しくないので、そこであえて突っ込む必要も無いのかと…。オープン当初は弱いと指摘されていた鮮魚に関しても、刺身の品揃えとか地元の好む種類とかを理解してきたらしく、徐々にニーズにあった品揃えになってます。全体的に、まだ雑な売り場ですが、的は得てるのかと。

お寿司から惣菜にかけては、以前から品数の多いボリューム感のある売り場だったので、それが維持されているなと思います。畜産コーナーでは輸入牛の一件か、少し間延びした感も。ただ、もともと国産中心(赤城牛だったか)で作っていた売り場なので、見れないことは無いのかと。売り場全体的にボリュームや低価格追求など、メリハリがある売り場です。

加工食品、一般食品等は、オープン時からスッキリとしたPOPを使い、「お買い得」「毎日この価格」の主に二種類を使用しているのみで、非常に見やすくまとめられています。通常の店ですと、生鮮、衣料、一般食品でPOPも販促もバラバラで統一感が無い場合がほとんどです。ベイシアの場合、生鮮部分を含めて店内全体で統一されているのも感心します。

食品以外の部分は割愛させて頂きますが、低価格を追求しているスーパーセンターではありますが、雰囲気的には衣食住全て揃ったGMS(総合スーパー)に近いと思います。テナントで一部、見直した方がよさそうな店もありますが、自ずと淘汰されることでしょう。

…余談ですが、オープンから二ヶ月ほど経ちますが、この日も駐車場で視察団らしき集団を二組見かけました。休日なので、スーパー現場関係者なのかは定かではありませんが、車の停め場所、円のつくり、あと歩き方が業界人でした。お疲れ様と申し上げたいです。

チャレンジャー小千谷店


写真・小千谷市桜町 チャレンジャー小千谷店
知る人ぞ知る?ディスカウントなスーパー。
ベイシアは市街北部なのですが、それとは全く逆方向、南に約4Kほど離れています。

関越道・小千谷インター付近、新興地域の一角に位置します。幹線からちょっと入った目立たない場所ですが、南部は比較的宅地が多いですから、その辺からの集客があるそうです。構成はこの店舗の隣に、酒のエルジョイ(自社)となっています。

写真ご覧の通り。生鮮食品・業務スーパー。以前は単なるディスカウント店だったチャレンジャー。その後一般食品スーパー買収を機に、食品スーパーのノウハウを得て、近年は「生鮮スーパー」と「業務スーパー」の両方を兼ね備えた業態で、展開を進めています。小千谷店の場合は、新規物件ではないので現在の売り場に至るまでは変化がありました。

こじゃれた感じも無く、お世辞にも綺麗だとは言えない店舗ですが、そこが市場らしい雰囲気を出しています。生鮮部分は決して広いとは言えないものの、ボリューム感と鮮度感は出ています。強みの鮮魚は魚臭い売り場で素敵です。(臭いではなく雰囲気) お惣菜から畜産にかけては平ケースや平台を使って、またメーカーの販促を使ったりして、ゴチャゴチャしていますが、それが活気を出しているようです。生鮮全体的にですが、大きなパックで販売しているものの、一パック価格の方はきちんと基準を設けているせいか、どこぞのディスカウントスーパーと違って、パックによって価格と量目が目茶目茶ではなく均一です。

生鮮以外、売り場半分程度が「業務スーパー」 別に仕切られてはいませんが、天井に「業務用」と書かれた紙が垂れており、売り場も冷凍ケース一色になっているので、一目瞭然です。レジ前付近のエンドはとにかくケース販売、陳列となっています。酒のエルジョイへは屋根は繋がっているものの、入り口は別。洒落っ気はありませんが、まあお酒が売っている、そんな感じです。

最近、「Cカード」とやらを導入、顧客に対し限定値引きシールやポイント割引などを展開しているチャレンジャー。どこぞのスーパーでは大失敗した「業務用コーナー」。一般スーパーとは連動が難しいとされていますが、専門であるディスカウント店の強みを生かして両方が連動しております。知恵次第では食費代がかなり安くなる…そんなお店でございます。

原信駅前店(小千谷駅前店)


写真・小千谷市東栄1丁目 原信駅前店
こちらもベイシアから3kほど離れております。JR小千谷駅前に近い駅前通の一角。
一旦信濃川を渡っておりますし、駅前商店街に位置しますので、他の4店とはまた集客が違うと思います。 駐車場は店舗裏に。

300坪程度のさっくりとした売り場。コンビニ代わりに使える、冷蔵庫代わりと言いましょうか。物件も古く、客層も近所らしき方も多いようです。静かに時間が流れています。

原信西小千谷店


写真・小千谷市城内2丁目 原信西小千谷店
かつてはドル箱と言われた?(らしい)西小千谷店。ほぼ小千谷市中心部に位置し、西小千谷SCとして、敷地内には美容室やファーストフードもあり、周囲にはTUTAYAがあったりと、小千谷の先端を走る?地域でした。

その時代はしばらく続きましたが、2000年、約400m北にジャスコがオープンしてからはその座を取って奪われ、昨年はベイシアオープンと苦戦を強いられているようです。

と言っても、物件は700坪程度なので、無謀なほど売り場が広かった訳ではなく、今現在でも大きく売り場が崩れることなく維持されております。ジャスコオープン時にリニューアルされてはいますが、競合対策等で特に特価にこだわる訳ではなく、至って普通の原信。スーパー本来の形を保っています。

ジャスコやベイシアと比べると、店内、品揃え、鮮度はかなり見劣りしてしまいますが(売り場は悪くは無いが、物件の年数的に全体的にそう見えてしまう)、今現在ベイシア等の動きを静観していることもあるのか、駅前店同様に無謀な挑戦はしておりません。原信店内でドラッグ等が営業を続けていますが、最近ではテナントの空フロアが目立ちます。

市街地と言う立地、深夜営業の実施等で差別化を図っているものと思います。…ジャスコが24時間営業なのが何とも厳しい状況です。

ジャスコ小千谷店


写真・小千谷市平沢新田 ジャスコ小千谷店
ベイシアと指しで勝負、と書くと表現が適切じゃないと苦情が来そうですが…。実質、現在ベイシアとこのジャスコとの一騎打ちになっているようです。いずれも平面駐車場。

先に書きましたが、2000年オープン。敷地内にはセルフスタンド・ぺトラス。隣接地にはケーズ電器の他、ケンタッキー、村さ来の棟。直接は行き来できませんが、その隣にはコメリがあり、小千谷市内最大のSCです。

オープン当初、初の大型店出店で小千谷市挙げて大騒ぎとなりましたが、反面商店街の衰退をもたらしたのもこのジャスコ。良くも悪くも、小千谷市を大きく変化させた存在です。

店内、ふと気づきましたが入り口にあった、ガーデニング専門「Gガーデン」のスペースが激減。単なる鉢植え売り場と化し、奥半分がスキー用品売り場(時期的に)となっています。
まあ、コメリの方が充実していることもあって、上手くいかなかったのかなと思われます。

1階部分、簡単に言ってしまえばジャスコな売り場。食品売り場に生活雑貨にテナントなど。このジャスコの特徴?は正面エントランスから、食品売り場が近いこと。通常のジャスコですと、やっと歩いて食品売り場にたどり着くのが慣わし?ですが、直ぐ青果売り場に。2階は衣料、書店、テナントと言った一通り揃う顔ぶれ。

ご存知の通り、食品売り場は24時間営業となっております。青果、鮮魚、畜産、惣菜、ベーカリーと続きます。鮮度品質はあえて書くほども無く、良くも無く悪くも無い一定レベル。全体的にも「売りたいもの」とか、「際物」とかメリハリをつけて、広い売り場を十分生かしたインパクトのある見せ方をしています。ベイシア対策なのかは解りませんが、他のジャスコ店舗より「BESTプライス」であるアイテムを強調しています。エンドに大量に陳列したり、販促に「BESTプライス」のカラーである黄色を使った目立つボードを各所に付けたりと。コーナーまとめて「BESTプライス」を展開したりなどしています。

非常に面白い売り場になってはいるのですが、随所で欠品が目立ったり、コーナー丸々、ケース丸々空っぽだったり、前陳列が全然出来ていなかったりと、基本的なことがすっぽり抜け落ちている。そんな感じを受けました。営業時間の長さに比例して、品切れや前陳列の作業が増えてくるのは、避けて通れないのは事実ではあります。

内部事情は知りえないところなのですが、体制としてキッチリとした売り方、売り場の作りは出来ているものの、それを動かす人間がいない(もしくは少ない)のかと思います。要は売り場全てを把握しきれていない、完成度が高められないがために、細かい修正が出来ていないのかと。そもそも24時間営業ともなれば、やる前からこうなることは解りきっているわけですから、どこまでフォローできるかの挑戦を今、イオンは挑んでいるのでしょう。(たぶん)
…あ、これは小千谷店だけではなくて、県内の全店で全く同じ傾向にあります。

荒れているとは言いませんが、もう少し完成度を望む感もあります。魅力は十分に備えているので、よほど道から外れず完成度を高めれば、ベイシアを圧制できるはずです。

まとめ

さて簡単ではありますが、現状の小千谷市をわたしなりにまとめてみました。
各店、それぞれ目指す部分が違うので、それぞれ違う売り場になっており、一概に比べてどうだ?と言われると、比べようがありません。(比べようがないこともないが)

各店全体的にみれば、昨年と比べ売り上げが変化しているとは思います。
見附市の様に一社だけが大打撃、と言う悲劇は、ベイシアの郊外立地もあり避けられている状態なのかと思います。各店厳しい状況には変わりないと思いますが、なんとかストレートパンチを避け対抗しています。ただ今後、周辺状況、競合の体制、また新たなる郊外店の進出等含めて、一つ変化のあった場合は、その構図が大きく崩れ、倒れる危険性も確実にあると思います。

ベイシアをしのぎ、何とか均等を保っているように見える小千谷市ですが、実は大きく表面化していないだけ。己が倒れない体制作りは、継続は当たり前であり今後も油断は許されない、そんな厳しい状況なのかと思います。

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