ひとりごと

年末年始の買い物難民

クリスマス商戦から正月三が日までは、スーパーマーケットにとって一番の稼ぎ時。限られた売り場でいかに際物商材を売り込むか。本部が試行錯誤で練り上げた棚割りを基に、売り場担当者が朝早くから夜遅くまで売り場を変更。見事なまでのビフォーアフターとなるわけです。

頑張った証として、売り場を背景にみんなで集合写真♪
なんて、悠長なことを言っている暇はなく、店長に「もう開店時間だよ!早く持ち場へ戻って!」と言われるのがオチ。

怒涛のような作業が待っております。そして、12月31日をピークとし、際物商材を少しずつ狭め、売り場に変化をつけながら、三が日最終日の売り切りを目指して、タイミングを見ながら値引き幅を調整していく。

従業員にとっては恒例作業となりますが、一方、お客のライフスタイルの変化とともに売り場も少しずつ変化しています。

年末年始に休暇を取得できる就業であっても、日常に近い食生活を送る世帯も増加。店舗によっては、際物商材を極限まで絞って、鍋材や日常的な惣菜の品揃えを維持し、年末年始一色に塗り替わった売り場から追われてしまった、ご年配や若年層を取り込んでいます。

正月(高級)食材を使わず、いかに日常メニューで作るか。

世間やスーパーマーケットが年末年始一色になる時期、いかに日常と同じ生活を送るか。ライフスタイルやお財布事情と、それに至る理由は人それぞれですが、いつもの定番品が売り場から一時的に撤去されるのは、それらの層にとって毎年の恐怖であり、また課題でもあります。

常温保存可能、また冷凍食品を事前にストックするのは当然として、長期保存のできない生鮮品においても、事前に作り置きできるものは冷凍庫で保存。ただ、全部が全部を作り置きできるものではないので、解決できずにスーパーをはしごする場合も。

「おでんが食べたくなったと家族は言うものの、練り物売り場にいつものあずま揚やちくわが見当たらない。こんな高いかまぼこを入れるわけにも…」

正月明けのお弁当を、いかに日常メニューで作るか

すべて手作りで冷凍ストック、またはストックとプラス市販の冷凍食品の組み合わせなら問題はありませんが、練り物やお惣菜プラス市販の冷凍食品の組み合わせは工夫が必要。練り物売り場は、正月明けまでかまぼこや伊達巻に占拠され、お惣菜売り場はオードブルなどの大型パックで占拠。正月明け一週間はまともにお弁当が作れないご家庭も。外食やコンビニエンスストアのお弁当でつなぐ人もいますが、お財布事情もあって、正月明けは数日間、おにぎり2個というお父さんも。

「明日から仕事なのに、惣菜売り場はオードブルやエビフライ、角煮やフライドチキンばかり。週頭にお弁当に詰める、いつものから揚げやコロッケの小パックが見当たらない…」

一時的な買い物難民の発生です。

通常売り場への変更タイミング

年末年始の一時的な買い物難民の要望を受けてか、正月売り場から通常売り場への変更時期を前倒しする店舗も増えています。今年、2020年は仕事始めが1月6日(月)であるものの、1月2日時点で正月商材をメイン売り場から外し、特に鮮魚や惣菜においては通常に近い、小分け主体の品揃えに戻している店舗は多い印象でした。

一定数の店舗を見て回りましたが、練り物も12月30日夕刻時点で、多段ケースは通常に戻し、かまぼこや伊達巻などの際物商材は平ケースにまとめてしまう店舗も。もちろん、店舗によって売れ筋も客層も異なるのでタイミングは様々です。

一時的買い物難民を取り込むには

過去には、「日常の売り場でいかに顧客をつかんで、年末年始の売上にも結び付けられる売り場と品揃えを維持するか」という考えが主体であり、現代においても基本は変わらないとは感じます。ただ、ライフスタイルが多様化して長らくたった今でも、同じ考えで売り場を作っている店舗も少なくはなく、思わぬところで顧客のニーズを取りこぼしている感じはします。

理想は、日常の売り場で顧客を掴みつつ、年末年始の一時的買い物難民を発生させない品揃えがベストですが、大きく売上と利益を伸ばしたい時期に、限られた売り場スペースでそれらとの両立は、決して簡単ではないと察します。

個人的には、顧客のニーズをすべて取り込む必要はないと考えますが、売り場を柔軟に軌道修正できる店舗が増えれば、正月明けの昼食がおにぎり2個というお父さんは減るのかもしれません。

j-rakuda

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