主任の回想録

年末の冷蔵庫事件

スーパーマーケットの年末商戦。
もちろん商戦ですから大変。
作業に追われるのはもちろんのこと、
一番厄介なのは、冷蔵庫が満杯になって身動きが取れなくなること。

クリスマス近くになると、本部発注の際物商材に加えて、
店舗発注の商材も納入され、少しずつ冷蔵庫が狭くなってきます。

クリスマスを過ぎると、一旦はスッキリするものの、
待ってましたとばかりに、追加の焼き豚や生商材など年末年始・正月商材が入荷。
置き場を把握しておかないと、年末に売るはずだった商材を年明けに発見し、冷蔵庫で発狂することに。

ただでさえ、早く動き回らなければならない時期なのに、
荷物の山で身動きは取れないし、使置きはどんどんできるし。
売り場に出してしまうのも手ですが、山積みというわけにも。
積み過ぎると潰れてしまって、ドリップが出てしまいます。

そんな冷蔵庫をかき分けて、原木探しをするのですが、

「主任!チルドの豚肩ロースが見当たりません」
「え?正面の棚の2段目に積んだんじゃないの」
「あれは豚のチルドロースです」
「じゃあUS産の牛リブロースの脇じゃない」
「牛リブロースって、どこにありましたっけ…」

もうそうなると、捜索が始まります。
我が畜産部隊2名は、使置きが詰まったカートと、
ウインナーの箱を積み重ねた間の細い通路をカニ歩きし、
鶏モモ肉の5段重ねのケースと、豚生ロースの3段重ねのケースを乗り越え、
奥へ奥へと進むと、ようやく棚に積まれた原木に辿り着く。

「豚のチルドロースですよね」
「おかしいな。ここに豚肩ロースがあるはずだけど」
「やっぱ、リブロースの脇ですかね」
「あれ、リブロースって3段目に置かなかったっけ」
「主任が売れるから手前に置いてと言われたので、こっちの棚に」
「ああ、そうか…」

また、今来た道を戻りつつ、豚生ロースの3段ケースの両脇に足をかけ、
冷蔵庫全体を見渡してみると、

「あ!あったあった」
「主任!どこですかっ」
「そこそこ、ウインナーの箱の下に3箱見える」
「あ!ありました!ありましたよ主任」
「箱から出して、棚に置いてっていったじゃん」
「すみません、箱から出そうとしたら、ウインナーが入荷してそのまま上に積んじゃいました。すっかり忘れてました」
「上のウインナーの箱を、どかさないと取れないよ」
「ウインナー、売り場1ケースくらい出せますよ」
「じゃあ、とりあえず1ケース外に出そう。もう2ケースは鶏モモの上に置くか」
「あ!肩ロース取り出せそうです!このまま外に出せます」

いそいそと持って行ったはいいけど、
鶏モモのケースとウインナーの箱で、通せんぼされた私が出られませんが。

私を一人残して、撤収するんじゃない!
ウインナーを台車に積み替えて、通路を作らないと出られない。

「おーい。早く台車もってきてくれぇ、寒いっ!」

私のことなど忘れて、肩ロースを切ろうとしていたサブ君。
私の悲鳴に気づいて、慌てて台車を持ってきました。

これが奥の冷凍庫だったら、どうしてくれる!

やはり、事前に庫内の写真を撮っておくべきでした。

j-rakuda

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