主任の回想録

夏が来る

いよいよ夏も間近です。
我が店舗は海水浴場までのアクセス道路沿い立地のため、気温が上がってくるとサーファーらしき方々のご来店が増えてきます。さらに、海開き近くになると若者のグループが増え、以降はそれらの層に家族連れが加わります。特に週末は、開店前から駐車場に車が押し寄せ、開店と同時に客がなだれ込みます。

開店と同時にと書いたものの、実は開店1時間前にはエントランスの自動ドアは開け放しており、レジも数台セットアップ。本来であれば、夏期のみ開店時間を早めて、チラシ等で告知するのもよいのでしょうが、大人の事情がございまして、わずか2か月程度のうえ、天候によって大きく左右されるので、あまり余計な人員と費用をかけたくない本音も。そもそも押し寄せる客の多くは、県外ナンバーの車ですし。

要は「開店準備中だけど、とりあえず扉とレジは開けておくから、あるものだけ買って行ってね」みたいな。
そもそも、客層も売れるものも決まっているので、話は簡単です。

飲料水やお酒、バーベキュー用の野菜や海鮮、お肉やソーセージ。〇ちゃん焼そばにソース、紙プレートに紙コップ、割りばしにウェットティッシュ、アイスクリームにロックアイス、花火やスイカも売れますね。あとはタダの保冷用氷。

並べておけば売れてしまうドル箱商品ばかりのため、下手に開店時間を早めて、まんべんなく人員を配置する必要はないのかと。とはいえ、畜産部の場合、並べる以前に肉を切らなければいけないので、開店準備そっちのけのドッタバタ。だって、1パック200円のひき肉を10パック売るより、1パック2,000円のカルビ焼肉を売った方がいいじゃないですか。

「主任!お客様が押し寄せてきました」
「え?さすがに今日は早いなぁ。まだ開店まで1時間あるのに」
「今日は海開きですからね!天気もいいし。ハムソー加工品はバッチリ山積みですよ!」

まだBGMの流れていない、生鮮通路側しか照明がついていない薄暗い店内に、怪しげな若者集団がぞろぞろと。品出しはサブ君に任せて、パートさんと2人でひたすら商品づくり。

「その冷凍カルビ、全部タレと混ぜてパックしてもらえますか」
「5ケースも?タレが足りるかしら」
「サブ君が10本くらい発注していました。時間が無くて、まだ箱から出していないかも」
「あったわ!それにしも、冷凍カルビを見ると、夏が来たって感じ」

「主任!焼肉セットが残り5パックです!」
「とりあえず、この10パック出してくれるかな。もう20パックはできるかも」

「主任!お客様がステーキ用の安い赤身肉を、2キロほど欲しいそうです!」
「外産のランプがあったから、あれ切っちゃおうか」

「主任!安い厚切りのカルビを、3キロほど欲しいそうです!」
「3キロ?3パックくらいに分けるか。深いトレーあったかな」

「主任!生姜焼きくらいの暑さの豚肉を、2キロほど欲しいそうです!」
「チルドポークの肩ロースでもいいかな。ロースか肩ロース、どっちがいいか聞いてくれる?」

「主任!バーベキュー用の角切り肉で、もっと大きいのが欲しいそうです!」
「売り場のより大きい角切りがいいのか…でも、こんなに厚くて火が通るかな」

とても火が通らないであろうサイズでも、お客様のご要望であればお切りしますが、生焼けで食べて「食中毒だ!あの店が悪い!」と、後になって保健所騒ぎになっても困ります。

「一応、必ず火が通ったことを確認してから食べるよう、お客様に伝えといて…」

県外客は積極的なのか、オーダーメイドが多いです。

11時を過ぎると、ようやく店内からゴリゴリの県外客は消えて、地元のファミリーを中心とした落ち着いた客層に。

「主任!お客様の流れが落ち着いてきました」
「じゃあ、そろそろ開店準備を進めますか」

一息つきたいところですが、この時間でまだ売り場が埋まっていません。
もはや、1日分の労働をやり遂げた感で、お家へ帰りたい気分です。

「ああ。1パック2,000円のカルビと比較すると、1パック200円のひき肉がかすんで見える」
めまいに近い感覚で、遅めの開店準備…ではなく、売り場の穴埋め作業をしようとしたところ、食品担当のお局主任が血相を変えて、バックヤードへ駈け込んできます。

「畜産主任!悪いんだけど大至急、品出し手伝ってくれる?10分だけ時間ちょうだい!10分」
「すごいですね!ドリンクでもバカ売れしましたか?」
「アイスクリームとロックアイスが品切れしそうなの。臨時便で届いた分を今すぐ出したいのよ!」

そう。こんな時に限って、店長はお休みです。(ある意味、持ってる男)

すでに冷凍ケースの底が見え、数パックを残して散乱するアイスクリームとロックアイス。生鮮主任からチェッカーまで総出で、片っ端から段ボール箱を開け、商品をケースに押し込みます。

「これで終わりじゃないのよ!まだ、台車3台分あるから、どんどん積んじゃって!」

売れることは良い事ですが、結局のところ品出しに30分かかってしまいました。

「みんな、ありがとう助かったわ。これで午後の波を迎えられるわ」
「すごいですね。今日も売り上げウハウハじゃないですか」
「おかげ様よね。あら?もうお昼じゃないの…。早番の人は早く行ってね」

なんだかんだで、畜産売り場が埋まったのは午後1時半過ぎ。
遅めのランチとなったのでございます。

まあ、休憩室でランチできる時間があるだけ、まだマシですが。

いよいよ、暑い夏がやってきます!

j-rakuda

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